キャリトレ事業部の松岡(@little_hand_s)です。
キャリトレチームでスクラム開発を導入し、議論の機会が増えたため、議論自体の効率化必要性に突き当たりました。
そこで、会議設計やファシリテーションの書籍を何冊か読み、実際に現場で実践してみたころ、
議論が必要な仕事であれば幅広く、確実に生産性を向上できるという手応えがありました。
その実践結果から、再現性が高く、すぐ実行できそうなTipsを抜き出してまとめました。
議論を始める前に、必ず目的とゴールを設定する
議論を行う場合は、以下の2つを必ず設定します。
目的:なぜその会議を行うのか?
ゴール:議論終了時にどういう状態になっていたいか?
これはとにかく基本です。これを守るだけで、生産性が大幅に上がるので、まずはこれを徹底しましょう。
対象は主に会議のような場ですが、個人で話しかけて議論が始まるような時にも有効です。
会議の場合は、会議の主催者が定義してカレンダーの詳細に入れておくのが良いでしょう。
議論の目的とゴールを明示する利点
目的とゴールの定義には、以下のような利点があります。
- 話すべき内容が明確になり、必要な議論に集中できる
- 目的に沿って参加必要/不要な人が判断できる
- 議論が脇道にそれた時、目的に向かわない議論は後回しにする、という判断ができる
(2,3番目については後述します)
良い目的、ゴールを設定する問いかけ
細かいコツですが、「この議論のゴールは何か?」
と考えるより、
「この議論終了時にどういう状態になっていたいか?」
と具体的に問いかける方が適切なものが出てくる傾向があります。
議論が白熱したら、論点を文字で明示する
論点をホワイトボードや全員で見ているディスプレイなどに言葉で明示しましょう。
議論が白熱、もしくは迷走していると、論点が脱線したり、参加者の頭の中にある論点が異なっており議論が噛み合わなかったり、ということが往々にして発生します。
これを防ぐために、まずは論点を明確に言語化し、そこに集中して議論するようにします。
途中で論点が変わった場合には 「今論点がこちらに移ったと思いますが良いですか?」
という風に確認し、新しい論点も文章で書いてから進めます。
習慣がないとあまり行わないことだと思いますが、実施して見るとかなり効果的だということがわかります。
一方結構強く意識し続けないと途中で忘れてしまうので、一人専任のファシリテーターを立てることも有効です。
運用上のコツ
論点は「〜か?」と問いかけ型にしましょう。
「〜について」といった書き方はよくありますが、論点が明確ではないのであとから食い違う原因になります。
全ての議論で行う必要はありませんが、議論を始める最初に行うと効果が大きいです。
また、議論が白熱してきた、と感じたタイミングで 「ちょっと整理させてもらって良いですか」
と断って論点を書き始める始めるのも有効です。
議論が噛み合わないと思ったら、「問題解決の5つの階層」でどこがずれているのか確認する
問題解決の5階層、というものがあり、議論を進める上でとても有効です。
この図で重要なことは、下の階層で意見が一致していないと、上の階層では意見が絶対に意見があわないということです。
「あれ、議論が噛み合っていないな?」と思ったら、この階層に照らし合わせて合意が取れていないことがないか確認しましょう。
よくある事例:
「課題について議論するが、温度感が噛み合わない」
→ まずは「1.事象」の認識があっていない可能性があります。
それぞれの人がどういう事象を元に課題認識しているかをまず認識合わせしましょう。
「いきなり施策が提案されて検討するが、必要性や優先順位が噛み合わない」
→まずは「1.事象」「2.問題」の認識があっていない可能性があります。
事象を確認し、解決したい課題を明文化して認識合わせをしましょう。
その場で必要がない議論はスキップする、という判断をする
議論の場で出た論点について、常に全てその場で議論する必要はないと認識しましょう。
- 議論の目的達成に必要ない論点
- その場の参加者の持つ知識では結論が出せない論点
などは、その場での議論が必要ないと判断し、別の場で話すように提案します。これができるようにになると議論の時間を大幅に短縮できるようになります。
運用上のコツ
有効な方法ではありますが、伝え方が若干難しく、言葉を選ばないと感情を害してしまう可能性があります。
これに対しては、ファシリテーターを立ててこの役割を担ってもらう方が角が立たないという場合があります。
直接伝えるコツとしては、
「すみません、ちょっと時間が足りなくなっちゃうかもしれないのでこの話後回しにできませんかね?」
などと時間を意識させる言い回しがオススメです。
議論の目的が明示されていればそれを指差して明示するのも有効です。
話が逸れたら中断、という文脈が共有されているチームでは、「この話今必要ですか?」
という言い方ですませることもできますが、
最初からやるとカチンとこられてしまうことがあるので気をつけて下さい。笑
議論に誰を呼ぶべきか、常に考える
「この議論には誰を呼ぶべきか?」という問いについて毎回考えて声をかける人を選択しましょう。
目的のために必要ではない参加者を呼ぶのは無駄 である一方、
必要な人がいない会議では目的達成が不可能 となります。
これを考えるのに、以下のような基準を作り、参考にすることもできます。
- 集まって議論すべきもの
- 合意形成が必要なもの
- ex: 結論を出す、選択肢を選ぶ…
- のちの情報共有のコストを考えた時、プロセスから共有した方が速いと考えられるもの
- 合意形成が必要なもの
- 全員で集まってやる必要がないもの
- 選択肢を出すことが目的のもの(ブレストなど)
- 必要なのは「全員いること」ではなく「良い選択肢を出すのに必要な人がいること」
- 判断に必要な情報を集める、議論のたたき台を作るなどの作業
- テキスト化された情報を読みあげる形での情報共有
- 選択肢を出すことが目的のもの(ブレストなど)
黙っている人が黙っている理由を推測してアプローチする
議論参加者のうち、ずっと黙ったままの人がいるのは健全ではありません。
黙っている人については、以下を参考にどの分類に属するか判断し、必要に応じたアプローチをしましょう。
議論で黙っている人の5分類
- 議論についていけない
- 参加者の理解・認識が揃っているか確認しましょう。
- 何かモヤモヤした思いがあるが、まとまっていない
- 何か言いたいことがあるが遠慮している
- 話を振って意見を聞きましょう。
こういう場合は話を振ると堰を切ったように喋ってくれ、それが貴重な意見であることもあります。
- 話を振って意見を聞きましょう。
- 他の人と同じ意見なのでわざわざ話さなくてもいい
- 基本的にはOKです。ただし、あまりにもずっと発言がない場合は、話を振ってみる、参加要否の再検討をする、などを行いましょう。
- 議論に興味がない
- 興味がなくなっている理由を検討し、必要に応じて参加要否を再検討しましょう。
運用上のポイント
黙っている人の表情は判断材料になることが多いです。
- 「ついていけていない」人は困っている、難しそうな顔
- 「言いたいことがあるがまとまってない、遠慮している」人は納得いかない、考え込んでいるような顔
- 「他の人と同じ意見」の人は比較的明るい表情で、うなづきが多い
- 「興味がない」人は退屈そうな人
などです。議論は論理的なものですが、非言語情報も材料に判断することができます。
まとめ
議論をする場というのは人と仕事をする限りは必ず発生するので、これを効率化するスキルを身に付けることは、はなかなかレバレッジが効く学習だと思います。
興味を持っていただけたら、ぜひお試し実践いただけたら幸いです。