Visionalグループ 株式会社ビズリーチに2024年4月に新卒入社したエンジニアの田中です。 プロダクト職(エンジニア/デザイナー)の新卒社員は、2024年度においては以下のスケジュールで新卒研修に参加しました。

研修スケジュール

Visionalでは、将来的に社内の繋がりを活用し、深い関係性で結ばれている仲間同士で力を合わせて課題解決ができるよう、ビジネス職を含めた職種共通研修が入社後実施されます。 職種共通研修ではビジネスパーソンとしての基礎やチームで価値をつくることを学びました。

職種共通研修の一部は社内ブログ「All Visional」で紹介しています。

後半の約 4 ヶ月間はプロダクト本部に配属され、業務や現場でのOJTと並行してプロダクト職研修が実施されました。

この記事では、プロダクト職研修で得た学びや自身の変化について、新卒社員の目線で紹介します。

プロダクト職研修について

Visionalでは、本質的な課題を解決し価値をつくるために「エンジニア」「デザイナー」という役割に囚われず「プロダクト全体」の視点をもったモノづくりをすることを大切にしており、新卒社員においては職種の区分を無くし「プロダクト職」として入社しています。

そのため研修においても、エンジニアとデザイナーは合同でプロダクトに関する研修に参加しました。

研修では開発プロセス理解研修、思考整理トレーニング、テスト技法研修など、約20種のプログラムがありました。

プロダクト研修のプログラム

研修は業務や現場でのOJTと並行して進められたため、週1、2回のペースでプログラムに参加しました。 また、エンジニア向けのフォローアップの位置付けとしてプロダクト職研修とは別に、Javaの研修「javatry」でプログラミングの基礎を学びました。

開発未経験で入社した私は、モノづくりの基礎を身に付けようという気持ちで研修に臨みました。

研修内容の紹介

ここからは、フォローアップ研修を含めた数あるプログラムの中から特に印象に残った2つの研修を抜粋して紹介します。

思考整理・モデリング研修

ソフトウェア開発における上流工程を思考する上でベースとなるスキルを身につけることを目的に、4回にわたりプログラムに参加しました。

上流工程は開発における初期の計画や設計フェーズを指し、具体的には要件定義や設計、仕様作成などが含まれます。 この段階では、システムが「何を実現するべきか」を明確にし、そのための大まかな構造や機能を考える力が求められます。

研修ではデザイナーと合同の2グループに分かれ、与えられたお題(モノや事象)に対し構造や振る舞いのモデル(どんな動作をし、反応をするか)をチームメンバーと話し合い、出来上がったアウトプットをレビューし合い理解を深めていきました。

ここでの「モデルを考えること(モデリング)」はシステムの複雑な構造や動作をわかりやすく抽象化、可視化することを指します。

前半の基礎的なプログラムでは「ソフトクリーム」や「鉛筆」といった身近なものを例にしたお題、後半の応用的なプログラムではより実務に沿ったお題が出されました。

アウトプットの一例
アウトプットの一例

この研修では、構造や振る舞いのモデルを実際に形にすることの難しさを感じました。 ある程度構造や振る舞いについて思考はできていると思っていましたが、いざモデルに落とし込もうとするとスムーズにはいきませんでした。

何かしらアウトプットを出せて初めて、構造や振る舞いを理解できたと言えることから、自分はアウトプットできるほど構造や振る舞いについて理解できていなかったのだと思います。 私の場合、考えを巡らせることに満足してしまう癖があったので、何らかの形として残せていない限りそれで満足してはいけないと考えを改めるきっかけにもなりました。

またチームメンバーにはエンジニアもデザイナーもいたことで、相互理解を深める機会にもなりました。

お題が「鉛筆」のワークでは5分以内に鉛筆の使い方を10通り以上考える必要がありました。 私は鉛筆本来の機能に目を向け、「書く」「塗る」といった用途を考えていました。 一方同期のデザイナーはエンジニアの私とは異なる視点で「耳にかける」「振ってぐにゃぐにゃさせて遊ぶ」など、鉛筆の本来の目的とは離れた使い方を次々と挙げていました。

私は「機能に忠実に」という視点から「あるべき使い方」を考えていた一方、同期のデザイナーは「自由に解釈する」という視点から「体験に基づく新たな使い方」を考えていたのです。 後者の視点は私には全くなく、デザイナーの視点を通して新たなものの見方を知ることができました。

また5分間という限られた時間の中で多くのアイデアを出すことに苦労しました。 私の場合上から下の一方通行でロジックツリーを考えてしまっており、抽象度の高い上流部分で十分なアイデアを出せないと、具体的な下流部分のアイデアも幅が狭くなってしまっていました。 短時間で妥当性のある結論を数多く出すためには、具象だけに着目するのではなく、具象と抽象を行き来して体系的に物事を整理して発想を広げる必要があると学びました。

研修の様子
思考整理・モデリング研修の様子

javatry研修

javatry研修はアウトプット中心のプログラミング研修です。 講師はDBFluteと呼ばれるORMの開発者である久保雅彦さんです。 久保さんが作成したJava学習用エクササイズ「javatry」を個人で進めて週1回の1on1で私のコミットをレビューし、プログラミングの基礎的なエッセンスを指導していただきました。

コーディング経験の浅い私にとって、この研修は業務で実装をする上で大変役立ちました。 特にオブジェクト指向の設計思想を現場レベルの実情と照らし合わせて指導してくださるので、既存コードを読む力がグッと向上したと感じています。

また、時にはエクササイズから抽象的な話に移り、学習方法やエンジニアとしての仕事への向き合い方なども話していただきました。 中でも以下の言葉は事業会社で働くエンジニアとして強く印象に残っています。

“プログラムを書いたからお金がもらえるのではなく、書いたプログラムが価値を出したからお金がもらえる”

普段の業務でも単に実装するのではなく「そもそも果たしたい目的は何か」、「その手段は目的を達成するための最善の策であるか」と自問自答しながら仕事を進めることを心がけています。

コード上でのやりとり
コード上でのやりとり

研修で得た気づき

ソフトウェア開発では専門的なスキルに加えて論理的思考力や言語化能力が求められるということ

研修では開発プロセスそのものの考え方から具体的な要件定義や設計、テスト手法、実装などを一通り学習しました。 これら各プロセスにおいて、共通するのは事象を「理解すること」、「整理すること」、「仮説を立てること」でした。

研修を受講する前から漠然と「論理立てて考えること」は大切だとは思っていましたが、研修を経て、具体的にどんなステップを踏んで考えれば良いのか、また穴があった場合にどんな不都合が生じてしまうのかといったことを理解でき、より解像度高く論理的に考えることを意識できるようになりました。

また研修ではエンジニアとデザイナーがチームとなり話し合ってアウトプットを出すプログラムが複数ありました。 その中で私も含め他のメンバーが会話についていけなくなったり、途中で認識のずれが発覚して認識合わせに時間を要し不完全なアウトプットで終わることがありました。

ソフトウェア開発では、エンジニア、デザイナー、プロダクトマネージャーなど異なる視点や専門知識、バックグラウンドを持つメンバーが協働します。 そのためプロジェクト全体の理解を深めたり、スムーズな協力体制を築いたりするためには、それぞれの相手と目線を合わせたコミュニケーションが欠かせません。

その中で一意的な意味合いを持ち、バックグラウンドの異なる人に対しても通じる言葉を選択し伝える力が必要になってくるのだと感じました。

これらの学びは現在、以下のような場面で役立っています。

研修を終えた感想

業務やOJTとの並行だからこそ学びが深くなったと感じています。 私の場合、業務・OJTでは「分からない」が基本的に先行しました。以下に例を挙げます。

これらの課題が研修を通じて徐々に解決されていきました。 あらかじめ課題感や具体的なイメージを持って研修に臨めることで、研修の理解度や学びが深くなったと感じています。

またデスクの付近にメンターとなる先輩がいて気軽に質問できたり、質問を投げると詳しい人がすぐ答えてくれるSlackチャンネルがあったので、分からない状態が長時間続くといったことはありませんでした。

おわりに

現在全ての研修が終了してから2ヶ月程経過しました。

私はアプリのバックエンドエンジニアとして「ビズリーチ」の求職者様が利用するアプリの開発に携わっています。 フロントエンドやインフラ、データ分析ツールなどにも触れる機会があり、その都度技術をキャッチアップしています。 周囲の協力を得ながらではありますが、研修で築いた基礎があるからこそ、今こうして幅広い技術に触れながら仕事を進められていると感じています。

また研修を共にした同期とは配属後も常に交流があり、互いに刺激を得たり、何気ない会話で助けられたりしています。

まずは数年間もがき続け、自らの意思を持ってプロダクトの成長を推し進められるエンジニアになりたいです。

Visionalグループでは新卒採用を積極的に行っています。ご興味がある方は、新卒採用サイトから採用情報をご確認ください。

参考記事

(※1)2023年 新卒研修② エンジニア・デザイナーが合同でモノづくりを学ぶ テスト駆動開発(TDD)編
(※2)SODA: ビズリーチが目指すプロダクト組織の「計器飛行」(前編)

田中 遼
田中 遼

24新卒エンジニア。学生時代は応用物理学を専攻していました。たまに走ります。