はじめに
こんにちは。 株式会社ビズリーチでSREグループに所属している、佐々木康徳です。
2025年7月11日・12日の2日間にわたり、信頼性に関するプラクティスに深い関心を持つエンジニアのためのカンファレンス「SRE NEXT 2025」がTOC有明で開催されました。
今年のテーマは「Talk NEXT」。対話を通じて、SREの技術・組織・人材育成に関する新たな知見や発見を得る場となりました。
Visionalグループは昨年に引き続きPLATINUMスポンサーとして協賛しました。グループを代表して株式会社ビズリーチより佐々木が登壇し、会場には企業ブースを出展いたしました。このブログでは、セッションの内容やブースで行ったコンテンツについてご紹介します。
セッション紹介
2009年にサービスを開始した、即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」。2025年7月末時点でスカウト可能会員数は307万人を突破し、日本最大級のハイクラス転職プラットフォームへと成長しました。
事業や組織が成長を続けるなか、少数のSREチームだけで全てのプロダクトの信頼性を守り抜くことは、大きな課題となります。
この課題に対し、私たちは各プロダクトチーム自身が信頼性へのオーナーシップを持ち、自律的に改善を推進できる状態を目指すことが不可欠だと考えました。
本セッションでは、その実現に向けた「SREイネーブリング」の取り組みを、SREグループの佐々木より紹介しました。SREチームが伴走しながら課題発見や改善を支援し、そこで得た学びを組織全体の「形式知」へと昇華させていく。フレームワークを使ったチームの自律性を育むための具体的なアプローチと、その過程で得られた学びを実例と共にお話ししています。 当社の発表内容については、以下の動画と登壇資料が公開されていますので、ぜひご覧ください。
【動画はこちら】
【登壇資料はこちら】
また、当社の登壇内容について、多くの反応をいただきました。
ご覧いただいたみなさま、本当にありがとうございます。
SRE NEXT2025 - 『伴走から自律へ:形式知へと導くSREイネーブリングによる、プロダクトチームの信頼性オーナーシップ向上』 - posfie
ビズリーチ企業ブースのご紹介
セッション登壇とあわせて、Visionalとしてスポンサーブースも出展いたしました。
2日間を通して非常に多くの方にお立ち寄りいただき、ブースは終始、熱気に包まれていました。
今年のイベントのテーマが「Talk NEXT」であることも踏まえて、ビズリーチのブースでは参加者のみなさまに以下のテーマの中から一つ、実際に取り組んだことを記した付箋を貼っていただき、ビズリーチSREメンバーと参加者の皆さんとの、双方向のコミュニケーションが生まれる企画を用意しました。
- やってよかった社内勉強会を教えてください
- 自動化したことで「卒業」できた手作業を教えてください
- SREとしてワクワクした挑戦を教えてください
- 仕込んでおいてよかった!と思う、監視・アラート設定を教えてください
やってよかった社内勉強会
やってよかった社内勉強会では、開発手法や設計思想を学ぶ「ソフトウェアエンジニアリング」 が34.1%で最多でした。
これに、キャリア共有やLT会を含む「その他」(27.3%) と、k8sやIaCを扱う「モダン・インフラストラクチャ」(25.0%) が続きました。
この結果は、エンジニアが個々の技術力を高めるだけでなく、チーム全体の知識を底上げする文化や、モダンな開発環境への強い関心を持っていることを示しています。 普遍的な開発スキル(ソフトウェアエンジニアリング)、共有文化(その他)、そして最新技術(モダン・インフラ、SRE、AI)という、要素がバランス良く重視されていることがうかがえます。
自動化したことで『卒業』できた手作業を教えてください
自動化で卒業した手作業では、「開発プロセス」 が、31.3%を占めてトップでした。
内訳としては、開発環境構築やリリースノート自動生成のような開発者の生産性を高める自動化が含まれています。
それ以外にも、 本番利用申請やアカウント発行といった組織全体の管理業務を効率化する自動化が、同じ熱量で推進されていることを示しています。エンジニアリング部門だけでなく、会社全体で手作業をなくし、各々が本来の業務に集中できる環境作りへの関心の高さが、この結果から表れています。
仕込んでおいてよかった!と思う監視・アラート設定
仕込んでよかった監視・アラート設定では、「アプリのサービス監視」が36.7% でトップでした。
APIパフォーマンス(レイテンシやエラー数)といった、ユーザー体験に直結する指標への関心が最も高いことがわかります。
これに、リソース使用量やスロークエリなどの「インフラのリソース監視」(23.3%) と、WAFやGuardDutyによる「セキュリティ監視」(20.0%) が続きます。単なるサーバーの死活監視だけでなく、サービスの品質、基盤の安定性、そして安全という、システムを多角的に守る、成熟した監視文化がうかがえる結果となりました。
SREとしてワクワクした挑戦を教えてください
SREが最もワクワクした挑戦として挙げたテーマは、「プラットフォーム刷新&移行」(26.7%)、「信頼性&パフォーマンス向上」(26.7%)、そして 「コスト最適化」(13.3%) がトップ3を占めました。
これらで全体の約7割に達しており、共通するのはシステムの「抜本的な変革」を目指す活動である点です。
EKSへの移行やSLO導入、基盤の内製化といった挑戦は、日々の運用業務(守り)とは対照的な、未来に向けた能動的な「変革」と言えます。
SREのやりがいは、既存の仕組みを維持すること以上に、より良い未来のためにシステムを積極的に作り変えていく点にあることが示されています。
お話を伺うと、皆様のチーム編成や事業規模、フェーズは様々です。
だからこそ「その手があったか!」と膝を打つような工夫や、同じ課題に対する全く異なるアプローチに触れることができ、私たち自身にとっても新たな発見の連続でした。
技術談義に花を咲かせながら、多くの方々と交流できたことを大変嬉しく思います。
おわりに
今年のSRE NEXTも、多岐にわたるセッションや参加者同士の交流を通じて、SREという役割の重要性と、その実践におけるノウハウや共有を深く学ぶことができる貴重な機会となりました。参加者のSREに対する強い想いが感じられました。
また、運営のみなさまは本業がある傍ら準備を進めてくださり、当日含め最後まで手厚いサポートをいただき大変感謝しています。
Visionalのセッションでご紹介した「SREイネーブリング」は、組織全体の信頼性を向上させるための重要なアプローチです。今後も私たちは、プロダクト開発チームとの連携を強化し、ユーザーへ価値あるサービスを安定的に届け続けるための挑戦を続けてまいります。
ビズリーチでは、プロダクト組織の拡大に伴い、SREを共に推進していただく方を募集しています。
当社のSREの取り組みやカルチャーに少しでも興味を持っていただけましたら、ぜひお気軽にお声がけください。