Visionalグループでは、2013年より新卒エンジニア採用を開始し、これまで約130名の新卒エンジニアが入社しています。毎年様々なバックグラウンドを持った仲間を迎え入れるため、新卒入社研修も毎年バージョンアップしています。 これまでの経験や実績から導き出された、事業会社で活躍できるエンジニアになるために何が必要なのか、2021年4月に行われる研修の企画と併せて紹介します。
グローバル基準に引き上げたVisionalの新卒エンジニア採用
近年、新卒エンジニアの採用基準をグローバル基準に引き上げました。Visionalグループは、テクノロジーとプロダクトの力で社会の課題を解決していく事業を展開していくため、ソフトウェアエンジニアに高い技術力と新たな価値を創造し続ける力を求めています。
グローバル基準採用では、日本国内での採用と海外での採用の間にあった採用基準の差分をなくし、技術知識とともにリベラルアーツや汎用的な課題解決能力を有し、環境の変化に対応しながら自身を変化させ続けられることを求める人材像に設定しました。Visionalグループの中核人材への成長を期待する、非常に高い採用基準です。
結果として、非常にポテンシャルが高く、かつ多様性ある仲間が入社しています。そこで重要となってくるのが、いかに早期のオンボーディングを実現し、各事業で戦力化してもらうか、中長期的に成長し続ける人材となってもらうかです。私たちは研修を改めて整理し、最適な研修を提供できるよう検討を重ねました。
エンジニアの能力を3つに分解することからスタート
まず、研修の企画をするにあたって、エンジニアが成果を発揮するための能力を以下のように分解しました。
- 専門的な課題解決力
職種や職務別に必要となる専門的な知識・スキル
- ポータブルな課題解決力
あらゆる職種や職務に共通する、成果を出すための思考または実行力
- 共通の価値観・マインド・スタンス
組織で成果を出すために土台となる共通認識や考え方
私たちが挑む社会の課題には、ソフトウェアエンジニアのみならず、様々な専門領域の知識と経験を持つプロフェッショナルとともに取り組みます。ソフトウェアエンジニアにおいても、突出した一人が存在すればよいというわけではありません。チームとして動き、チームとして際立った成果を生み出すためには、「専門的な課題解決力(技術力)だけではなく、課題特定や仮説思考といった「ポータブルな課題解決力」が必要です。
また、能力の発揮の根底を支え、成長し続けるためには、プロのエンジニアとしての「マインドやスタンス」と、当社の一員としての「共通価値観」が求められます。
当社では、それぞれのプロダクトの特性に応じて技術選定が行われており、かつ、現場でのオンボーディングが組まれていることが多いため、配属先から技術面の研修への要望の声は高くありません。また、昨今では個人で容易に技術の学習ができることや、学業やインターンを通じて十分な知識や開発の経験がある学生エンジニアが入社していることから、研修では品質や開発プロセスなど教育課程では学びづらい基礎的な研修を中心とし、応用的な技術の研修の優先度を下げることにしました。一方で、ポータブルな課題解決力の発揮は難易度が高く、配属後につまづきやすいポイントとなっていました。
そのため、早期に力を発揮し、かつ中長期的に活躍し続ける人材となっていただくために、今回の新卒入社者に対しては学生時代には身につけ難く、プロのエンジニアとして必要となるチーム開発や大規模開発などの最低限の知識を学びつつも、「共通価値観・マインド・スタンス」「ポータブルな課題解決能力」に注力した研修を企画することにしました。
経験学習サイクルに則った研修の構成
次に上記をどのように学んでいくかを考え、私たちは学習方法として、経験学習サイクルを取り入れることにしました。
経験学習サイクルとは、経験を振り返り、その経験を別の場面でも応用できるよう抽象/概念化し、実際に別の場面で学びを実践していくという一連のサイクルであり、業務を通じた能力開発において言及されることの多い理論です。 もちろん座学などの研修も大切ではありますが、それを実践し、本質的に理解をすることが何より大切です。
経験学習サイクルを研修内に取り入れることで、上記の研修の目的を本質的に理解することができ、実際に配属後に躓きやすいポイントを事前に経験/学習をしているため、配属後の立ち上がりがスムーズになると考えています。
参照: 経験学習とは?学習プロセスや促進させるためのポイントをご紹介
2021年度の研修コンテンツ
上記を踏まえ、今年の研修はこのようなコンテンツを予定しています。
大きく8つのコンテンツを準備し、まずセキュリティやテスト、技術者倫理、サービス運用に関する研修は、大規模開発という学生時代には身につけ難く、かつ自学自習のコンテンツが少ないものを準備しました。
また、チーム開発という観点で、グローバルな文化や価値観を学ぶグローバル研修、スクラム研修、Git/GitHub研修などビズリーチのプロダクト組織で働く上で欠かせないことを模擬形式を交えて実施予定です。
最終的に、実践課題にて配属後に経験する開発プロセスを体験し、経験学習のサイクルを通じて業務の中で躓きやすいポイントにしっかり向き合い、研修全体を通じて学びを得られることを目指しています。
私たちの新卒エンジニアへの思い
「新しい可能性を、次々と。」
これは、私たち Visionalグループのミッションです。既存のプロダクトやサービスの進化も必要ですが、新しい可能性を次々とつくっていく為には、新たな知識、新たな情熱、様々な価値観を持った人材が継続的に「変化」を起こしていくことが求められます。私たちは年齢や経歴に関わらず真摯にものごとを前に進めようとする姿勢を歓迎します。社内には「握手、拍手、挙手」の文化が根付いており、挙手する人には必ず手が差し伸べられます。
私たちは新卒エンジニアの皆さんに今後のプロダクトづくりをリードする存在になって欲しいと心から願っています。しかし、私たちが取り組む社会の課題解決には、高い技術力や深い洞察力、粘り強い解決力、しなやかなリーダーシップなど、一朝一夕では身につけられない多くのことが求められます。
新卒研修はこれからの長いキャリアの入り口に過ぎませんが、そのスタートの数ヶ月をどう過ごすかはその後のキャリアに大きく影響を与えるものであり、私たちはその責任を強く感じています。幸い研修は多くの人間が関わり年々改善され、誇ることができるものになっています。ぜひ新卒研修を通じて、ご自身の強みや弱みに向き合い、未来のプロダクトを支える仲間として活躍するためのスタートダッシュをかけてください。