はじめに
こんにちは!株式会社ビズリーチでソフトウェアエンジニアをしている市川です。
2025年11月、アーキテクチャの構想・判断・構築にまつわるリアルな知見を共有し、多角的な視点から設計判断への理解を深めるカンファレンス「アーキテクチャConference 2025」がベルサール羽田空港にて2日間にわたり開催されました。 Visionalグループは本イベントのスポンサーとして協賛し、株式会社ビズリーチはセッション登壇およびブース出展を行いました。本記事では登壇の内容と、ブースでのアンケートなどを交えた来場者の方々とのやりとりをご紹介します。
セッション登壇レポート
当社のセッションでは、プロダクト本部 プラットフォーム統括部の西山が「リアーキテクティングのその先へ 〜品質と開発生産性の壁を越えるプラットフォーム戦略〜」と題して登壇しました。
こちらでは、ビズリーチプロダクトの開発組織が長年の開発を通じて蓄積した技術的負債の解消に向けて、リアーキテクトを進める中で見えてきた課題に対する技術戦略と組織開発それぞれの取り組みを紹介しました。
ビズリーチプロダクトの開発組織では、チームトポロジーの考え方を取り入れた組織設計およびチームの再編とソフトウェアのリアーキテクトを通じてプロダクトの改修に取り組んできました。
しかし、事業の急成長とともに組織とシステムが拡大・分散した結果、品質・生産性・ガバナンスについて以下の課題が浮上しました。
- 品質面: 分散環境下でのログ追跡や可観測性が低下し、障害の連鎖や共有DBの負荷集中による信頼性リスクが顕在化
- 生産性面: チームごとの開発標準やCI/CD環境が乱立し、インフラ管理等の「課題外在性認知負荷」が増大するとともに、結合テストの難易度も上昇
- ガバナンス面: 複雑化したシステム間の依存関係やAPIの所管領域が不透明になり、機能開発におけるチーム間の調整コストや認識齟齬が増加
これらはストリームアラインドチームの認知負荷を増大させ、素早いデリバリーの阻害要因となっています。 これらの課題に対して、プラットフォームエンジニアリングとAI活用を推進し、ストリームアラインドチームが効果的・継続的に価値創出できるようにプラットフォームチームはサポートし続ける必要があると考えており、それらの取り組みをご紹介しています。
▼当日の発表資料はこちらで公開していますので、ぜひご覧ください。
スポンサーブースも盛況でした!
ブース出展では、当社が取り組んできた「ソフトウェアのリアーキテクチャ」と「組織設計」をテーマに掲げ、現在の組織設計の紹介と、これまでの経緯や考え方などをご紹介しながら多くの方と交流しました。 特に、「肥大化したモノリス構成からの脱却」には、非常に多くの関心が寄せられました。ブースでは、チームトポロジーや逆コンウェイ戦略といった概念を今回初めて知ったという方はもちろん、既に実践されている方とも深く議論させていただきました。 特に印象的だったのは、以下のような「現場での境界線の引き方」に関する切実なお悩みです。
- マイクロサービス化に向けて、どのようにチームを切り出すべきか
- 機能を切り出す際、プラットフォームチームとストリームアラインドチームのどちらが主導すべきか
また、「組織変更の成果をどう評価するか」という点も、多くの方が関心を寄せるポイントでした。当社の事例として、イネーブリングチームが「Four Keys」を用いてデリバリー速度の可視化している取り組みも共有しました。 過去に理論の適用に苦労された経験談なども伺い、概念としてのチーム分割をいかに現場に落とし込むのかが、多くの組織にとっての共通課題であることを再認識する機会となりました。
また、ブースではアンケートとして「品質」「開発生産性」「ガバナンス」に対する取り組みについて付箋で回答をボードに残していただき、訪れた方にビズリーチや来場者の方々の取り組みも共有しました。
頂いた回答では特に「品質」と「開発生産性」に対して、AI活用に関連するものが多く寄せられました。 具体的な活用法としては、単なるコーディング補助に留まらず、実装前の調査や設計などの補助・「壁打ち」の相手、コードのレビュアーとしての活用など、開発の様々な場面で活用していることがうかがえました。コードについての品質と生産性の向上に言及される方が多い印象でした。
一方で、個人レベルでは活用が進んでいるものの、プロジェクトの制約により業務利用が難しいといった声も散見されました。AI活用の意欲をいかに組織として後押しできるかが、今後の生産性向上における大きな分岐点になると感じます。 また、すでに導入済みの企業間でも、仕様駆動開発(Spec-Driven Development:SDD)や、より高度な自律型AIエージェントによるAI駆動開発など、活用レベルの深度にはまだ差があることも印象的でした。
当社のプロダクト組織でも、Github CopilotやClaudeといったAIツールの積極的な導入と活用のための環境整備を進めながら、業務効率化や品質向上、その効果検証のための取り組みを進めています。 AI駆動のプロダクト開発への考え方などについて、CTOの外山によるブログ記事も公開されていますのでぜひご覧ください。
加えて、社内向けのAIアプリ開発も推進しています。「prAIrie-dog」プロジェクトでは、AIに社内データを安全に参照させる仕組みの下、現場社員が業務課題に合わせて設計したプロンプトを元にAIアプリを開発し、生産性向上を実現しています。 日々の開発業務では社内用語や仕様などについて広く情報を取得するために、膨大な社内ドキュメントを基に回答するprAIrie-dogアプリを活用しています。 紹介記事はこちら。
また、ご回答いただいた方にノベルティとして「ちいとぽパズル」(6面パズル)をお渡ししました。ちいとぽパズルはチームトポロジーにおけるチームと相互インタラクションの概念図を揃える形式となっており、ご好評いただきました。
まとめ
今回の登壇内容を通じて、組織の習熟度に応じて変化していく課題に対して、チームを進化させていくことが大切であると伝わったのではないかと感じます。 また、ブースでは組織設計もソフトウェア開発に大切であると感じつつも、その実践の難しさに悩む方が多いことやその上での取り組み、AI活用の現状など直接お話をすることで得られた気づきも多く非常に貴重な機会となりました。 当社セッションをご聴講いただいたみなさま、ならびにスポンサーブースにお立ち寄りいただいたみなさま、誠にありがとうございました。
最後に、本記事でご紹介したようなリアーキテクチャの取り組みや、ビズリーチでの開発に少しでも興味をお持ちいただけましたら、ぜひ一度カジュアルにお話ししましょう!
皆さまからのご連絡を、心よりお待ちしております!