はじめに
株式会社ビズリーチで検索基盤の開発を担当している検索エンジニアの加藤です。
2026年3月に神戸で開催された「データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム」(以下,DEIM)に、ビズリーチはゴールドスポンサーとして参加し、技術報告の登壇とブース出展を行いました。 DEIMは、データベース、情報検索、自然言語処理などの分野を横断する学術フォーラムです。 研究者、学生、企業エンジニアが集まり、口頭発表やポスターセッションを通して活発な議論が交わされます。
この記事では、登壇内容の概要や会場の雰囲気、そして学会全体を通して感じた技術動向を紹介します。
今回は検索基盤グループから2名、AIグループから2名の計4名で参加しました。
ビズリーチでは検索や推薦、LLMなどの技術をプロダクトに組み込み、日々改善を重ねています。 向き合っているのは、数千万件に及ぶ求人やレジュメのデータから最適なマッチングの機会を導き出すという、変数の多い問題です。 こうした実務の壁を越えるには、既存のエンジニアリングだけでは足りません。 アカデミアの知見を取り込み、実装と検証を地道に繰り返すことが欠かせません。
今回の参加には、自社の取り組みをコミュニティに共有すると同時に、最前線の研究者との対話から次のヒントを得るという狙いもありました。
技術報告の紹介
ビズリーチにおける検索・推薦の取り組み
登壇では、キャリアインフラになるというビジョンに向けて進めている、検索・推薦・LLMの活用事例について紹介しました。
発表はLLM・推薦・検索の三つのテーマで構成しています。
LLMの取り組みでは、LLMOpsの整備と、スカウト文の自動生成やキャリア相談AIといったプロダクトへの応用を紹介しました。 推薦では、協調フィルタリングからBERTベースのTwo-TowerモデルやMulti-Stageモデルへの発展について説明しました。 検索では、双方向性を考慮したランキング設計、HR領域に特化したSPLADEモデルの開発とOSS公開、さらにストリーミングデータ同期基盤の刷新について取り上げました。
詳しい内容は技術報告資料をご覧ください。
会場・ブースでの様子
会場全体の様子
データベースや情報マネジメント分野を中心に、若手研究者を中心としたアカデミックな熱量に包まれていました。 口頭発表だけでなく、ポスターセッションでも発表者と参加者が至近距離で議論を交わしており、どのポスター前にも人が集まっています。 学生の参加比率が高いのも特徴で、研究と産業が自然につながっている場であることを強く感じました。
ブースの様子
ビズリーチのスポンサーブースでは、検索・推薦技術の紹介に加えて、就職先に何を求めるかをテーマにしたパネルアンケートを実施しました。 学生だけでなく、教授や他社のエンジニアも足を止め、回答内容をきっかけにその場で会話が生まれていました。世代や立場によって回答傾向が異なる様子も見えてきて、自然と議論が広がっていきます。
また、弊社の学生向けサービス「ビズリーチ・キャンパス」をご利用いただいている方も多く、社内で使っている技術スタックを紹介すると具体的な質問が次々に寄せられました。 検索、推薦、自然言語処理を専門とする学生が多く集まるDEIMならではで、技術の話題にもすぐ深く入っていける雰囲気がありました。
検索や推薦の領域で独自の技術的な挑戦を続けていることを知り、興味を持ってくださる方も多くいました。 これまでのイメージとのギャップから、ここまで検索や推薦に力を入れているとは思わなかった、という声も聞かれました。 技術的な取り組みを知ってもらう機会として、確かな手応えを感じる場面でした。
ブースでは、技術的な概念の話から実務上の課題まで、さまざまな話題が飛び交っていました。 OSS活動やモデル開発に関心を寄せる学生も多く、企業の技術的な取り組みと自身の研究テーマとの接点を見つけてくれる場面も見られました。
研究の段階では見えにくい運用上の工夫やスケーラビリティの課題については、こちらから実務の視点で紹介することもありました。 一方で、普段あまり意識していなかった理論的な観点から指摘を受けることもあり、プロダクト改善につながるヒントを持ち帰る機会にもなりました。
DEIMで感じた技術トレンド
学会全体を通して、やはりLLMは中心的なテーマでした。 ただし単なる活用だけでなく、モデルの内部特性の理解やSLMの構築、精度を引き出すための使い方など、一歩踏み込んだ研究が多く見られました。 LLMを使う段階から、挙動を理解して最適化する段階へと関心が移っている印象を受けました。
データベースの性能や精度に関する発表も充実しており、検索や推薦に関する研究層の厚さも印象に残りました。 私たちが日々の実務で直面している課題と重なるテーマも多く、興味深い発表が多かったです。
ビズリーチでもLLMOpsの整備を進めてきましたが、今回得られたSLMの可能性やLLMの挙動に関する知見は、今後のモデル改善を考えるうえで重要なヒントになりそうです。 学会で共有されたアプローチを、実際のサービスにどう取り込めるか。チーム内でも議論を続けていきます。
まとめ
今回のDEIMへのスポンサー参加を通じて、改めてアカデミックなコミュニティとの接点の重要性を確認できました。 今後も技術コミュニティへの貢献に加え、学術的なコミュニティにも積極的に関わり、研究と実務の双方からより良いマッチング体験を追求していきます。
ビズリーチでは、学会への参加や登壇を通して研究の知見を取り入れながら、それをプロダクトへ還元していく取り組みを続けています。 検索、推薦、LLMといった領域で、研究の成果を実サービスに落とし込むことに関心のある方がいれば、ぜひ気軽にお話しできればと思います。