2026年2月、株式会社ビズリーチは「AIでプロダクト創出を常態化する」をミッションとした組織、「AI Product Studio」を新設しました。AI駆動開発の手法を確立しながら、同時に事業を創出していく。そして確立した手法をビズリーチ全体に展開していく。それが「AI Product Studio」の役割です。

多くの企業が、AIを活用して開発の効率化を進めています。ビズリーチも同様に取り組みながら、さらに一つ先の問いを立てています。AIを前提として、プロダクト開発そのものを再構築した時、何が変わるのか。 そして、それを組織として継続的に実現し続けるにはどうすればよいのか。

この挑戦はまだ始まったばかりですが、設立からわずか2ヶ月で10万行規模のプロダクトをフルAI駆動で社内向けに先行リリースするところまで来ました。コードはすべてAIコーディングエージェントに書いてもらい、エンジニアが直接書いた行は0行です。

私はこの組織が設立される以前、新卒入社から約5年間、一貫して「HRMOS」の開発に携わっていました。当組織の設立とともに異動し、現在はAI前提の開発フロー構築と新規事業開発を担っています。

本記事では、この組織が設立された背景と、現在の取り組みをお伝えします。

1. CTOが自ら検証し、体系化してきた構想

AI Product Studioが設立された背景には、CTO外山自身が積み重ねてきたAI駆動開発の検証があります。

外山はAI駆動開発を自ら実践しながら、そこで得た知見を個人的にnoteとZennで発信してきました。AI駆動プロダクト開発の成熟段階、人とAIの役割分担、ガードレールの具体的な実装まで、理論と実践の両面から体系化してきました。詳細はnote連載(AI駆動プロダクト開発 / 人とAIの三権分立)やZenn記事(横のガードレール)をご覧ください。

有効性が見えてきたとき、次の問いが生まれました。「これをビズリーチという組織として実現するには、どうすればよいか」。外山は「ビズリーチCTO外山が語るAIネイティブへの本気」でビズリーチはAIによるパラダイムシフトを「迎える側」ではなく「起こす側」になると明言しています。AI Product Studioは、その答えとして設立されました。

私は外山からこの構想を直接聞いたとき、直感的に「やってみたい」と思い、異動を希望しました。キャリア入社のメンバーの多くも、面接でこの構想を聞き、賛同して実現に挑戦するために入社しています。この構想に惹かれたメンバーが集まっているのが、私たちのチームです。

2. 最速で確立するために、AI前提の開発組織として新設

ビズリーチがパラダイムシフトを「起こす側」になるためには、AIを前提とした開発プロセスを確立し、開発生産性を抜本的に向上させることが不可欠です。

その手法を最速で確立するために、AI Product Studioはビズリーチの既存の開発チームとは完全に独立した部署として設立されました。AI前提の開発組織として新設することで、ここで確立したプロセスを後にビズリーチ全体に展開していきます。

また、既に大規模なコードベースがある環境では、AI駆動開発の仕組みを整備するために時間を要します。そのため、取り組みの場として従来のプロダクトとは独立した新規事業を選びました。新規コードベースであれば制約が少なく、AIを前提とした仕組みを導入しやすいうえ、仮説を検証するサイクルを素早く回すこともできます。

AIを前提としてプロダクト開発を再構築するためには、既存の開発業務への深い理解が不可欠です。だからこそ、所属するエンジニアはテックリードを経験してきたメンバーのみで構成されています。その知見があってこそ、AIが自律的に動くための仕組みを設計できます。「AIに任せればよい」のではなく、「AIが自律的に動くためには、どんな仕組みが必要か」を問い続けるチームです。

3. 開発プロセス全体を、AI前提で再構築する

「規模が大きくなるほど開発スピードが落ちる」。これは従来の常識でした。私たちが目指しているのは、数十万行規模のエンタープライズアプリケーションにおいてもAI駆動で開発スピードを維持できる仕組みを作ることです。

Claude CodeなどのAIコーディングエージェントを用いることで、コーディングプロセスを高速化することはできます。しかしそれだけでは、ボトルネックがレビューや要件定義、QAに移っていき、開発プロセス全体としては高速化することができません。ハーネスエンジニアリングの考え方をベースに、コーディングにとどまらず、要件定義からQAに至るまで、AIを前提としたフローで再構築しています。

具体的な取り組みをいくつか紹介します。

開発プロセス図

上流工程のフィードバックサイクル高速化

AIコーディングエージェントを導入し、コーディングは高速化されました。しかし要件定義フェーズなど上流工程で決めなくてはならない事項が多く、ボトルネックが発生していました。このボトルネックを解消するために、ペルソナや事業アイデア、ユースケースなどを入力すると実際に動く画面を容易に生成できるClaude Codeのスキルを作成しました。これをプロダクトマネージャー(PdM)が活用することで、上流工程でのフィードバックサイクルを素早く回すことが可能になりました。

BizDevメンバーによるMVP開発

さらに、BizDevメンバーがClaude CodeとGitHubを活用し、エンジニアを介さずにMVPの開発を進められる仕組みを整えました。BizDevメンバーが実際の業務でそれを使い、自ら機能を追加・改善できるため、業務の実態に合ったプロダクトを高速に作り上げることができます。エンジニアはClaude Codeのスキルを作るなど、仕組みづくりに専念しました。

AIエージェントによる自律的なQA

QAフェーズでもボトルネックが発生することが明らかであったため、「Agentic UAT(User Acceptance Test)」を作成しました。これは業務要件をもとにAIエージェント(Claude Code)が実際の業務を模してブラウザを操作し、テスト項目なしに業務が実現できるかをエージェント自身が考えながら検証するものです。AIが自律的にQAを行えるだけでなく、擬似的なユーザーとして活用することで、PdMが仕様のブラッシュアップを高速に行えるという副次的な価値も生まれました。

取り組みの成果

これらの取り組みの結果、設立からわずか2ヶ月でプロダクトを社内向けに先行リリースすることができました。コードベースは約10万行、コミット数は約500にのぼります。約300件の自動テスト、約200件のガードレールを整備し、Agentic UATで継続的に品質を検証することで、スピードと品質を両立した開発が実現できています。従来の開発であれば、この規模のリリースには最低でも半年程度を要していました。エンジニアが直接書いた行は0行です。AIコーディングエージェントに指示をし、すべてAIに書いてもらっています。 エンジニアはコードを書く代わりに、AIが自律的に動くためのハーネスや仕組みづくりに注力しています。

人間がやらなければならないと思い込んでいた作業がAIで代替され、時間が圧倒的に短縮されていく。その連続に、私自身も驚かされています。

現在さらに、AIエージェントのオーケストレーションによって、これらのプロセスを人間の介在を最小化して実行するアーキテクチャの検証も進めています。

4. チームと、これから

我々のミッションである「プロダクト創出を常態化する」は、一つのプロダクトを作ることではありません。AIを前提とした開発を継続的に成立させる組織能力を構築し、それをビズリーチ全体へ展開していくことです。新規事業を通じた手法の確立は、その第一歩です。

そのような挑戦の場に身を置いて、異動してから毎日新しい発見や学びがあり、とても濃密な毎日です。チームでも、誰かが新しいアプローチを試してうまくいけば数日のうちにチーム全体に広まり、話していたことがすぐに形になっていく。チーム内では毎週LT会が開催されていますが、発表スライドもClaude Codeのスキルで自動生成できる仕組みが作られています。このような新しい取り組みがチーム内で次々と生まれており、私自身、このチームに来て面白いと感じる瞬間が絶えません。

これらの取り組みの詳細については、これからも順次発信していく予定です。

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石塚 崇寛
石塚 崇寛

AI Product Studioのソフトウェアエンジニア(元HRMOS)。2021年新卒入社。音楽フェスとライブに行くことが好きなことから、社内ではモッシュと呼ばれている。好きな音楽のジャンルはラウドロック。